この時代はまさにNBAの転換期と言っていいだろう。
70年代にも活躍した選手は多数いるが、同時にドラッグやアルコールが選手間に蔓延し、NBAとABAとリーグが2つになってしまい人気が低迷する。
ところが80年に入ると2人の大スターがNBAを盛り上げる。
マジック・ジョンソンとラリー・バード。
マジックとバード、この名前を聞いただけで高揚感この上ない(笑)
どうでもいいが、大人気漫画のスラムダンクも海南と翔陽の神奈川県2強という設定があるが、ユニホームがもろレイカーズとセルティックスである。
もっと言うと、翔陽の藤真が監督兼選手であるが、かのレジェンドの元セルティックスのビル・ラッセルは監督兼選手をした経験あり。その位当時のレイカーズとセルティックスの影響は半端ではなかった。
カレッジ時代からこの二人はライバルで、NCAAでファイナルを戦い、その上レイカーズとセルティックスというNBAで最も伝統あるチームにドラフトされNBAの人気を押し上げる。私が思うに79年(マジックとバード入団期)のドラフトは84年(オラジュワンやジョーダンetc入団期)、96年(アイバーソンやコビーetc入団期)のドラフトを凌駕すると考え、このドラフトがNBA人気のきっかけとなり、90年代、現在のNBA選手も彼らのプレーを真似しその後の選手に多大な影響を与えた。
有名な話だが、コビー・ブライアントもマジックのプレーをビデオテープがスレ切れる程観ていたらしい。80年代は正にこの二人の時代といっても過言でなく、88-89年まで必ずレイカーズかセルティックスどちらかがファイナル進出する程であった。
ちなみにNBAプレーオフは82-83シーズンまで23チームしかなく、各カンファレンスより6チーム選出であった。現在の各カンファレンス8チーム制になったのは83-84から。勿論彼ら以外にも活躍した選手は多数いて、レイカーズとセルティックスが交互に優勝する中、82-83シーズンは76ersの時代であった。
Dr,J(ジュリアス・アービング/SF)とモーゼス・マローン(C)、モーリス・チークス(SG)を擁したこのチームはレイカーズをファイナルで4-0で勝利しているし、80年後半はバッドボーイズと呼ばれるデトロイトピストンズが活躍する。
このチームがえげつないほどの暴れん坊集団で、現代NBAにきたら一人(ジョー・デュマース / 現在のデトロイトピストンズの球団社長)を除いてフレグラントファウルを食らい過ぎてチームとして成り立たないかもしれない(笑)
アイザイア・トーマス(PG)、ビル・レインビア(C)、リック・マホーン(PF)、デニス・ロドマン(PF)等相手チームの選手たちを痛めつける為に生を受けた選手たちばかりだった。
特にジョーダンへの仕打ちが半端じゃなく、若かりしジョーダンがオールスター出場した際には、アイザイア・トーマスが皆にジョーダンへパスしないと促したり、対ブルズ戦においては有名なジョーダンズルールと名前が付く程、ジョーダンへの攻撃的なディフェンスは凄まじかった。(ファウルというよりアタックですな)ただ、、そこまでしないとジョーダンは止めらなかったってことだが。。。
また、若手の台頭もあった。83年のドラフト1位のラルフ・サンプソン(C)は85-86年にオラジュワンとのツインタワーでファイナルに出場するも敗れてしまう。将来を期待された選手であったが、たび重なる膝のケガが影響し選手生命を縮めてしまう。
224cm 103kgで運動能力抜群で、ジャバーも凌駕するのではないかと言われた人物であり、カンファレンスファイナルではあのレイカーズを破っている。
その他にはやはり84年ドラフトで先にあげた2人以外にサム・パーキンス(4位)、バークレー(5位)、ケビン・ウィルス(11位)、ストックトン(16位)、等錚々たる顔ぶれで、因みに208位に陸上選手のカール・ルイスがドラフトされてるのはちょっとウケた(笑)
85年にはキンコング、パトリック・ユーイング(1位)、86年にはステファン・カリーの父親でデル・カリー(15位)やジョーダンと共に3連覇したロン・ハーパー(8位)、86年にはストックトンの相棒で通算得点記録で2位のカール・マローン(13位)も忘れてはいけない。87年は有望で、デビット・ロビンソン(1位)、スコッティ・ピッペン(5位)NBA最高のシューターとの呼声高いレジーミラー(11位)、NBA最低身長(160cm)のマグジー・ボーグス(12位)、などなどあげたらキリがないが、個性的な選手が非常に多いことがうかがえる。
- 【1980年代での優勝回数】
・ロサンゼルス・レイカーズ:4回
・ボストン・セルティクス :3回
・デトロイト・ピストンズ :2回
・フィラデルフィア・76ers :1回 - 【1980年代のMVP】
・ジュリアス・アービング:1回(’81)
・モーゼス・マローン :2回(’82,’83)
・ラリー・バード :3回(’84,’85,’86)
・マジック・ジョンソン :3回(’87,’89,’90)
・マイケル・ジョーダン :1回(’88) - 【独自の視点から見る80年代最強3チーム】
・1位: 1985-86 ボストン・セルティクス
・2位: 1986-87 ロサンゼルス・レイカーズ
・3位: 1982-83 フィラデルフィア・76ers
総括するとやはりレイカーズVSセルティクス、マジックVSバード、ショータイムVSビッグ3、、というのが色濃く残ってしまうが、勿論彼ら二人では時代を築けたわけではなく、ショータイムレイカーズには、ジェームズ・ウォージーやバイロン・スコット、そしてカリームアブゥドル・ジャバー、セルティックスにはロバート・パリッシュケビン・マクヘイル、また彼ら以外のチームでもリーグを盛り上げた選手は数え切れない。
80年代という10年は新たなNBAを生み出す10年だった様な気がする。この10年がなければバルセロナ五輪での初代ドリームチームも生まれなかったかもしれないし、ジョーダンがいくら凄くともNBA人気の価値がなければここまでの人気にはならなかっただろう。その下地を作ったのが80年代NBAであり、時代の転換期に現れた2人のスーパースターだったと言って過言ではない。